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51. アルテミス四重奏団のこれも行ける、シューベルト「ロザムンデ」:弦楽四重奏曲「ロザムンデ」は「死と乙女」とともにシューベルトの代表作、よくこなれていて味わい深く、彼らしく歌謡的である。アルテミス四重奏団の演奏、精緻にして情感豊かだ。いずれの楽章も好演だが、特筆すべきは曲自体今一な最終楽章も精彩十分であること、奥ゆかしい。4月27日朝7:38~約45分間。なおベートーヴェンの「セリオーソ」やドボルザークの「アメリカ」も良く弾いている。
52. ベートーヴェン交響曲第4、充実したクーベリック/バイエルン:ベートーヴェンとしては実に爽快かつ厚みも十分な魅力作である。ラファエル・クーベリック/バイエルン放送交響楽団はやや遅めのテンポながら闊達。特に第1楽章は序奏が深長でその分主題が活き活き冴え渡って聞こえる。第4楽章も出出しが幾分遅めなので次のフォルテシモが効果的である。全体として管と弦のバランスが巧いせいか充実感を醸し出している。また高、低音の録音バランス、音質とも申し分ない。5月4日朝8:30~約41分間。
53. ピレシュの名演、ショパン協奏曲第2、プレヴィン/ロイヤルフィル:マリア・ジョアン・ピレシュはその艶やかな音色からモーツァルトに向いているが、ショパンも持ち前のセンスの良さで巧く弾きこなす。特に第2協奏曲は彼女の得意曲らしく複数の録音がある(ジョルダン/モンテカルロ国立歌劇場、プレヴィン/ロイヤルフィル、ティチアーティ/スコティッシュチャンバー)。いずれも標準を超えた出来であるが、中でもプレヴィンとの盤ではピレシュに巧みな起伏、奥行きが感じられ、情感豊かでくどくない。特に第2楽章にほのかな暖かさがうかがえるのは彼女ならでは。ハスキル以来の名演。オケもスマートにビシットと決まっていてピアノ・ソロとの調和がよい。5月19日朝8:35~約40分間。
54. ウィーンフィルを巧く鳴らしたベーム、ベト7:ベートーヴェンの交響曲第7は曲自体今一なせいか印象に残る演奏がない中、カール・ベーム/ウィーンフィル盤を聴いた。何と新鮮、さわやかそして細かいニューアンスまでよく行き届いた好演で、特に第3楽章が切れ味よく印象的である。ウィーンフィルの面目躍如と言ったところか、あまりの新鮮さにニューイヤーコンサートを聴いているよう。1972年の録音とは思えないほどの素晴らしい音質。5月24日朝8:30~約45分間。
55. 熱演のチェロ、ドボルザークの協奏曲op.104:演奏次第で印象が薄くなったり郷土色が鼻に付いたりする難しい曲。マリオ・ブルネロのチェロ、アントニオ・パッパーノ/ローマ聖チェチーリア国立アカデミー管弦楽団による2012年ライヴは活き活きとした好演。チェロは熱演でムーディーだがくどくなく、オケはスケールがありかつチェロとよくハモッている。ライヴにしては演奏、録音とも緻密、臨場感がある。6月9日朝8:25~約50分間。