過去の掲載記事(14)
66. 何時もとは違うリストのピアノ協奏曲第1:大袈裟、浅薄なので常々好感を持てないでいるこの曲が違って聞こえる不思議な好演、マルタ・アルゲリッチ/シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団。嫌味が気にならないほど美しい仕上がり、アルゲリッチが何時になく情緒的で丹念、精緻。オケは録音が抜群なせいかワイドで大規模、ソフトで快適。12月8日朝8:15~約25分間。
67. 七色の輝きが流れるようなリストの「ラ・カンパネラ」:リストの唯一?名曲、超絶技巧が美に繋がった傑作である。そして曲想が綺麗でわかりやすいので、テクニシャンならば誰が弾いても一応聴ける。マルク・アンドレ・アムランもそうした一人だが、艶やかに流れるようなさわやかさ。12月29日朝7:53~約25分間。群を抜くのはユンディ・リだ、テンポが快適かつ一糸乱れず変幻自在、繊細、優美、七色に輝いている。
68. 美しく、ロマンチックなシュポーアのVn.とHp.ソナタ:op.114、Vn.(ヴァイオリン)のトーマス・フューリはボーイングが深く情感豊か、ウルズラ・ホリガーのHp.(ハープ)も可憐でVn.とよく調和し、密度の高いアンサンブルを聴かせてくれる。2つの楽章とも上々の出来だが、特に第2楽章の後半は可愛らしさも加わりより印象的。2018年1月12日朝7:38~約25分間。またその後放送される同じシュポーアのVn.とHp.のためのコンチェルタンテト長調、シュネーベルガー/ホリガー/ペーター・ルーカス・グラーフ指揮イギリス室内管弦楽団もVn.はややひ弱だがひたむきで十分聴ける。
69. ウィーンフィルの魅力沸き立つシューマン交響曲第1「春」: ズービン・メータがウィー ンフィルの魅力を引き出してくれた。繊細で艶やかな弦、高らかに抜けるような管、双方のバランスも素晴らしい。濃密でスケールも十分だ。緻密な録音ができたのも大きい。元々魅力に乏しいこの曲が不思議と美しく聞こえ惹き込まれる。曲を楽しむと言うよりウィーントーンを高音質で楽しめる絶好の機会。3月14日朝8:35~約40分間。
70. モーツァルトのヴァイオリン協奏曲No.4, 5ならばオークレール:ミシェル・オークレールの残した数少ない録音中の名盤、記念盤(マルセル・クーロー/シュツットガルトフィル)。曲想通り溌剌、優雅で、ティボー譲りのフランス風のボーイングが垣間見える。オケも快適で巧い。ステレオ録音初期とは思えない特上の音質。その中の第4番が3月15日14:14~約30分間。特に終楽章は典雅の極致を感じる。