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71. 緊緊迫と幻想合わせ持つポリーニのブラームスピアノ協奏曲第2:マウリツィオ・ポリーニ/クラウディオ・アバド指揮ウィーンフィルは彫刻的に引き締まるピアノ、奥行き、巾とも十分な大スケールのオケ、双方がうまく溶け込み緊迫感と幻想感を波状に醸し出す。かつてのE・フィッシャー/フルトヴェングラー指揮ベルリンフィルに準ずるコクのある好演である。緻密で肌触りの良い音質、生演奏に近い。3月27日朝8:08~約54分間。なおティーレマン/ドレスデン国立歌劇場管と入れた最新盤はソロ、オケとも概ね弛緩していて聴くに耐えない。
72. 久しぶりに堪能したシューマンのヴァイオリンソナタNo.2:ギドン・クレーメル/マルタ・アルゲリッチは意気投合した緊密なかつ滋味を湛えた好演である。LP初期の名盤ジョルジュ・エネスコ/シャイエ・リシェに比べれば薄弱な感を否めないが、シューマンの味わいを存分に発揮し、序盤は未だしも尻上がりに熱を内に秘めてくる充実感が堪らない。白眉は第3楽章、ヴァイオリンがもう少し深く踏み込んでくれたら最高だったが。4月18日朝7:50~約40分間。
73. みずみずしい好演、ブラームスの弦楽五重奏曲op.111:アマデウス四重奏団&ビオラ:セシル・アロノヴィッツの演奏、やや振るわない第1楽章を除いて、みずみずしく、溌剌として、表情豊か。厚みと巾も感じられる。聴きどころは第2、第3楽章、特に後者はブラームス円熟期特有の陰影を帯びたロマンティシズムが渦巻く様で聴き惚れてしまう。4月18日朝8:45~約30分間。
74. 質実、オーソドックスな仕上がり、ハイドンの「皇帝」:この曲、聴ける演奏は極少ない。 唯一ウィーン・アルティス弦楽四重奏団がみずみずしく、洒脱。それには及ばないが、質実、オーソドックスなウィーン弦楽四重奏団の演奏も一聴に値する。各パート殊にヴァイオリンがしっかり鳴らしているので明快かつ美しい。お馴染みの第2楽章がややスローテンポだが、お好きかどうか。5月3日朝7:54~約35分間。
75. ギターの名曲、ロドリーゴのアランフェス協奏曲第2楽章: ギター好きでなくても聴き始めたら惹き込まれる名曲。スペインの夜のとある哀愁を誘う場面?、とにかく異国情緒がたっぷり楽しめる。ミロシュ・カラダグリッチのギター/ヤニック・ネゼ・セガン指揮/ロンドンフィルの演奏、とろけるようなギターと場のムードを盛り上げるオケ、特にイングリッシュホルンなど管との調和が印象的。しみじみとして味わい深い。5月22日朝7:47~約27分間。