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過去の掲載記事(16)

76. 堅実、快活、押し出しの効いたドボルザーク「アメリカ」:このポピュラーな弦楽四重奏曲、聴ける演奏が極少ない中、プラハ四重奏団はよく弾いている。堅実、快活、押し出しが効いていて聴きごたえがある。5月23日朝8:01~約35分間。ベストはアルテミス四重奏団のみずみずしい、可憐な、調和の美しい演奏、放送を期待する。

77. 異国情緒豊かな「スペインの歌」、心暖まるデ・ラローチャ:アルベニスのお国ものの一つ、全5曲からなるスペインの香り高いピアノ曲集。第1曲が独特の風趣に説得力が加わり印象的、次いで第3、第4曲の順に良い。アリシア・デ・ラローチャは自国スペインものを得意にしていて、この曲も真摯、滋味深く、人間味豊かに弾いている。透明度が勝ったテクニシャンとは真逆の巧みなヒューマニストと言える。5月29日朝8:45~約30分間。

78. フリューゲルホルンによる深妙なハイドンのチェロ協奏曲第2:モーツァルトを想起させるエレガントな魅力作、更にソロのチェロをフリューゲルホルンに替えると何気ないパッセージまでふくよかになり、全体としてより深みが出る。セルゲイ・ナカリャコフのソロ/ウラディーミル・スピヴァコフ指揮モスクワ・ヴィルトゥオージの演奏。この金管は低い、太い音色なのでチェロの代替が可能だが、機敏性が今一なためか曲全体幾分スローテンポにしてなごやかな印象を与えている。6月1日朝7:58~約30分間。

79. ペライアのしっとりとして知的なベートーヴェン「月光」:屈指の名作なのに凡演ばかりと言う印象の中、マレー・ペライアは奇抜でこそないが知的にしっとり弾いている。第1楽章は珍しく速いテンポながら慎重、内省的で充実している。他楽章もこれに準じた標準以上の出来である。2017年の録音。6月19日朝8:02~約22分間。なおマウリツィオ・ポリーニの弾く迫真、直情的な第3楽章、バックハウスの厳粛、荘重な第1楽章は模範的。

80. ハイドンQが先ず々の好演、ボロディンの弦楽四重奏曲第2:彼の残した唯一?名作、抒情的愛の曲、ハイドン弦楽四重奏団がそれらしく弾いている。印象的なのは溌剌としてみずみずしいヴァイオリン、よく通るようにのびやかて美しい。一方低音楽器はおっとり、ぽってり、殊に第3楽章の冒頭チェロが生ぬるく締らない部分がある。それでも各パート揃ってよくハモっていて厚みと立体感もあり先ず々だ。7月5日朝7:49~約36分間。

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