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81. ヘンデル「水上の音楽」、均整のとれたすがすがしい演奏:国王の舟遊びのアトラクションらしく豪遊気分が味わえる親しみ易い一作。多くの組曲からなるので、演奏は常々曲によって良し悪しが出てくる。その点コンバッティメント・コンソート・アムステルダムの演奏は出来不出来が少なく、いずれの曲も標準以上に聴ける。殊に名曲と言える第1番第3曲のアレグロ部分と第2番第2曲の「アラ・ホーンパイプ」は均整のとれたすがすがしい演奏、金菅がさわやかに響き渡っている。7月10日朝7:35~約50分間。

82. 情感たっぷりの「ペール・ギュント」、N.ヤルヴィ/イエーテボリ:グリーグの代表作、劇音楽版。声楽ソロや合唱が随所に配されていて組曲版よりロマンチック。ネーメ・ヤルヴィ指揮イエーテボリ交響楽団/エスタ・オーリン・ヴォーカルアンサンブル/プロ・ムジカ室内合唱団の演奏、情感たっぷりで幻想的、北欧の雰囲気が漂う。圧巻は「ソルヴェイグの歌」、ソプラノ・バーバラ・ボニーのいじらしい熱唱が印象的、気品がありうっとりする。「オーセの死」、「朝」、終曲「ソルヴェイグの子守歌」も心地良い。7月27日朝8:15~約60分間。

83. ドビュッシーを伝説の名ピアニストで聴く:リカルド・ビニェス、マルグリット・ロンは共にSP時代に活躍した超名ピアニスト、フランスものでは純度の高いエスプリを聴かせてくれる。ドビュッシーの「金色のさかな(映像第2集)」と「グラナダの夕暮れ(版画)」をビニェスが、アラベスク第1番と「雨の庭(版画)」をロンが弾いている。特に不気味な位幻想的な「グラナダの夕暮れ」とテンポの絶妙な、温もりを湛えたアラベスクは印象的。8月5日朝9:04~約30分間。LP初期にギーゼキングの名演があるが、上記二名匠は別格、至高の芸術を最近の復元技術によって改良された音質で楽しめる。

84. ヒナステラの傑作、ハープ協奏曲で宇宙の彼方、神秘の世界へ:約10年掛けて1965年に完成したとのこと、流石によく練られた聴き手を飽きさせない新たな名曲。独特のリズムは母国アルゼンチンの由来なのか。グザヴィエ・ド・メストレのハープ、ベルトラン・ド・ビリー指揮ウィーン放送交響楽団の演奏、異質、神秘的で宇宙空間を彷彿させ、終楽章はリズミックに躍動し爽快感を醸し出している。ハープが存外力強く曲全体を引き締めている印象、好演である。8月14日朝8:32~約30分間。

85. ロストロポーヴィチの名演、シューマンのチェロ協奏曲:大きく揺り動かされながらぐいぐい深みに引き込まれる異様な迫力があり、漠然とした曲想の中にも滋味、ロマンティシズムを湛えた名曲である。ムスティスラフ・ロストロポーヴィチは格別の包容力、表現力、情熱を以って名演を聴かせてくれる。バックのロジェストヴェンスキ指揮レニングラードフィルもメリハリ、盛り上がりがあって、緻密、ソロとのハーモニーが心地よい。9月11日朝8:34分~約33分間。なおロストロポーヴィチにはバーンスタイン/フランス国立管との演奏もあるが、この方は精彩が今一つだ。

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