top of page

過去の掲載記事(18)

86. サンサーンスのピアノ協奏曲第5「エジプト風」、久々の好演:色彩豊かな同第2番、4番にも増して異色、異国的、そんな名曲であるが、名盤となるとLP初期のマグダ・タリアフェロ/ジャン・フルネ指揮コンセール・ラムルーまで遡らねばならない。異国の香高い彫りの深いソロそしてエスプリが凝縮したような極度に洗練されたオケ、特級品である。これには及ばずながら、一聴に値するステレオ録音による好演、ジャン・フィリップ・コラール/アンドレ・プレヴィン指揮ロイヤルフィル、かなりムーディーだが要所をしっかり聴かせる懇切なソロ、手綱が締まり、メリハリを効かせながらソロを巧く盛り上げるオケ、なかなか行ける。9月14日朝8:40~約35分間。

87. ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1、抜群の音質、艶やかなソロ:密度、厚み、スケールとも十分な名曲、ジョシュア・ベルのヴァイオリンと指揮アカデミー室内管弦楽団による2017年新録音、抜群の音質のお蔭かソロ・ヴァイオリンが一際艶やかで臨場感がある。演奏自体も緻密、深みがあり、表情豊か、魅力的。オケも要所、要所で豪壮な響きを放ち、ソロを巧く引き立てている。ソロが部分的に非力で物足りない終楽章を除いて好演と言える。9月21日朝7:32~約33分間。名盤はハイフェッツ/サージェント指揮ロンドン新交響楽団、鮮烈で風格十分なソロと壮大なオケ、文句無しの音質。これには到底及ばない。

88. 鮮烈なオケ、郷愁あふれる好演、ドボルザークのチェロ協奏曲:ロ短調op.104、円熟期の代表作で、いずれの楽章もよくこなれており聴きごたえがある。リン・ハレル/ウラディーミル・アシュケナージ/フィルハーモニア管弦楽団の演奏は颯爽としてメリハリのしっかりしたオケが印象的、先ず冒頭しばらくしてからのフォルテシモが鮮烈でやがて惹き込まれていく。活躍する木管も上質、情緒的で聴きどころである。独奏チェロもオケに埋もれず情感豊かに歌っている。オケ、ソロとも緻密で調和の良さも見逃せない好演。11月14日朝7:39~約46分間。

89. 豪快、濃密な好演、ラヴェルの左手のためのピアノ協奏曲:両手で弾いているかのように充実した名曲、幻想的な冒頭、ジャズを思わせる躍動感そして耽美なカデンツァ。なのに片手のためか演奏家が敬遠し勝ち。ジャン・フィリップ・コラール/ロリン・マゼール/フランス国立管弦楽団は冒頭直後ソロ・ピアノが彫刻的な豪快なタッチで始まるところが先ず印象的、続くオケが粒揃いで壮大、異国的。中間部はソロの打鍵がきめ細かく美しいし、リズミックな場面はユーモラスかつ斬新、そして起伏のある濃密なカデンツァ。全体として妥協のない味わい深い好演、好録音。11月16日朝8:49~約26分間。

90. 待ちに待ったまともに聴けるベートーヴェン弦四op.131:この嬰ハ短調の弦楽四重奏曲はベートーヴェンの作曲群中の白眉、更にモーツァルトのk.421とともに恐らく史上の弦楽重奏曲中の最高傑作。ところがこれまで弛緩した凡演ばかり。そんな中アルバンベルク弦楽四重奏団はみずみずしく、躍動感みなぎる、程良くコントラストを効かせた、緻密な演奏。楽章によって重厚、深刻、凝縮、緊迫、様々な表情を見せる。SP時代のカペー四重奏団による迫力と気品に満ちた絶品をかつて耳にして以来のまともな好演、録音も抜群、臨場感がある。11月22日朝7:39~約45分間。

© 2023 by GREG SAINT. Proudly created with Wix.com

bottom of page