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91. いつもとは違って聞こえたリストのピアノ協奏曲第2:元々表面的で風格に乏しい曲ながら、エマニュエル・アックス/エサ・ペッカ・サロネン/フィルハーモニア管弦楽団の演奏で見違えるほどに。ピアノ・ソロは宝石のような美しさ、輝き、透明感、深み、スケール感を合わせ持ち、オケも豪壮、緻密で、双方が溶け込み不可思議、異様な風情を醸し出している。ただし第2楽章までで聴き止めておいた方がよい。終楽章はおよそサーカスの幕開けを告げる様な興醒めな曲想が目立ち、演奏も振るわない。12月5日朝8:48~約27分間。

92. 豊潤、抒情的な好演、モーツァルトのCl.協奏曲K.622: クラリネット協奏曲の最高傑作、メロディーの美しさに惹き込まれ演奏の出来不出来があまり気にならずに聴ける名曲である。ディミトリ・アシュケナージ/ウラディーミル・アシュケナージ/チェコフィルハーモニー管弦楽団の演奏はソロとオケがお互い溶け合った豊潤、抒情的な上々の仕上がり。第2楽章は情感が勝ってやや間延び気味だが、許容レベル。肌触りの良い抜群の音質で楽しめるリッチな一枚。12月14日朝7:43~約35分間。

93. 快活な心温まる力演、ベートーヴェン弦楽四重奏op.132:ベートーヴェン後期の充実した端正な造り、特に第3楽章は人間味豊かな心温まる名作で、アルバンベルク弦楽四重奏団が見事に弾いている。各パートとも粒揃い、活き活きとして緊密、意気投合している。曲想通りの心温まる力演である。12月26日朝8:10~約47分間。なお同楽団によるop.131も素晴らしい。

94. 木の香で潤う音色、ピエール・フルニエのバッハ無伴奏:第6番はバッハの無伴奏チェロ組曲の中でも高音域を駆使した特異作で、前奏曲と風情豊かなアルマンドは演奏家の質が問われる聴きどころである。得てして弛緩、鈍重に終始する。カザルスとは異なり元々うならない、角々しくない、エレガントなフルニエにしては極限まで踏み込んだ彫の深い力演となっており、冒頭の上記2曲が好ましい。木の香で潤う音色も特筆に値する。2019年1月17日朝7:26~約34分間。

95. 楽園にいるようなグノー「ファウスト」バレエ音楽:グノーの真骨頂とも言える劇音楽の会心作。全7曲中第1、2、5,6曲が円滑で華麗、楽園にいるようで心地良い。一瞬のひらめきから生まれたような無類、高雅な旋律の数々、聴き飽きることがない。ネヴィル・マリナー指揮アカデミー室内管。1月24日朝7:29~約21分間。

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