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6.サクソフォーンの妙なる音色:音色がクラリネットに似ていて、透明度がより高くより純化したように美しい。ポピュラーミュージックでよく耳にする甘い音色とは全く異なるソプラノ・サックス?。曲はモリコーネの「ガブリエルのオーボエ」とイベールの「間奏曲」、大森義基の好演。3月18日朝8:10頃~。
7.ピレシュの名演、モーツァルト・ピアノソナタK.310:曲自体K.331(トルコ行進曲付き)とともに全楽章揃って素晴らしい名曲であるが、何故かあまり耳にしない。モーツァルトの数少ない短調作品なのに勿体ない。マリア・ジョアン・ピレシュはテンポ、強弱とも精緻に、情感細やかに弾いている。特に懇切細心な第2楽章が印象的。慈しみながらしっかりしたテンポで奏でるリパッティ盤以来の名演。3月18日朝8:40頃~。
8.ヴラド・ペルルミュテールの妙演、ラヴェル「鏡」:各曲とも聴きごたえがあり彼の代表作と言ってよい。そしてペルルミュテールはラヴェルから手ほどきを受けたとされ、ラヴェル弾きとして名高い。水晶のように冷ややかなギーゼキングとは異なり真珠のように艶やか。テンポなど傑出しているわけではないが、彫りが深く、輝いている。二度録音している中、初回のモノラル盤と比べ技量の衰えはわずかで、音質が良い。3月31日朝7:40頃~。
9.ラフマニノフ自演のピアノ協奏曲No.2、ストコフスキーと:映画音楽になるような人気曲であるが、粘土を生ぬるい水で薄め伸ばしたようなイメージが付きまとう。しかしラフマニノフ自身が弾く、ストコ フスキー指揮フィラデルフィアOch.1929年録音盤はすっきり、生き生き、メリハリと密度が感じられ、斬新、意外にもすっきりしていてしかも高雅な香り高い。流石に自作自演は思い入れが普段とは違う。ストコフスキーもハイセンスだ。幸い音質も当時にしては良い。今後この曲を手掛けるアーティストにはこれを是非しっかり聴いて、原点に立ち返ってもらいたい。
10.ザビーネ・マイヤーとウィーン弦楽六重奏団員によるモーツァルトのクラリネット五重奏曲K.581:滋味深く、なごやか、彫りの深い好演、クラリネットとヴァイオリンが特に艶やかで印象的。曲がモーツァルト晩年のものだけに聴きごたえがあるが、それにも増してマイヤーが素晴らしいということか。第1と第3楽章が出色。