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過去の掲載記事(20)

96. 無視できないシューベルトの八重奏曲op.166:あまり馴染みのない6楽章に及ぶ小規模管弦楽曲。約1時間ものなので敬遠したくなるが、部分的にチャームポイントがあるので無視できない。歌謡的な優美なメロディーが散りばめられた第4楽章、次いでやや曖昧な感は否めないものの味わい深い第2楽章は聴いて良し。第5楽章も単純だが悪くない。コレギウム・アウレウム合奏団の演奏。ヴァイオリンのひ弱さが気になる反面、管の盛り上がりが見事。2月6日朝8:03~約1時間。

97. キリ・テ・カナワにうっとり「オーベルニュの歌」:カントルーブの代表作。フランスの郷土色が薫る、奥深く幻想的なソプラノ、管弦楽曲、全6集の中の第1、2集。キリ・テ・カナワの潤い豊かな、よく伸びる、よく通る美声、白眉の「バイレロ」では我を忘れてうっとりしてしまう。オケは伴奏ではなく管が表出して活躍するが、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団は上質、ソロとの調和よろしくスケール感ありとても美しい。2月8日朝7:50~約42分間。

98. ヴェンゲーロフの力演、シベリウスのヴァイオリン協奏曲:この名曲にはLP初期のモノラル録音ながらカミラ・ヴィックス/エールリンク/ストックホルム放送管弦楽団による名盤がある。シベリウス自身が最上と折紙を付けたとされる逸品。ソロ、オケとも北欧の厳寒、銀世界を彷彿させる迫真の秀演である。これには及ばずながらステレオ盤ではマキシム・ヴェンゲーロフ/ダニエル・バレンボイム/シカゴ交響楽団が素晴らしい。引き締った、時には切り込むようなヴァイオリンの力演、冒頭は普通だが尻上がりに加わってくる情熱が印象的、聴き手をぐいぐい引き込んでゆく。終楽章のコーダなど圧巻である。オケも大型でソロを巧くカバーしながら北欧のムードを醸し出していて好ましい。録音も抜群。2月12日朝7:46~約41分間。なおソロ、オケともしっかり鳴らしてオーソドックス、模範的なハイフェッツ/ヘンドル/シカゴ交響楽団の演奏も良いが、このヴェンゲーロフ盤の方が迫力、感性とも上回り魅力的。

99. 第3楽章だけ意外な魅力、ニルセンの弦楽四重奏曲op.5:マイナーな曲の中にも宝が埋まっている。新発見はうれしいもの。この楽章だけ意外な魅力を秘めている。北欧の香が漂う哀愁やら慕情やら感じられる滑らかな曲想、やや異色のメロディーが心地よい。カール・ニルセン弦楽四重奏団の演奏、活き活きとしていて妙を得たアンサンブルを見せている。2月12日朝8:40~約20分間。他楽章は曲自体が思わしくない。

100. 好演に恵まれたシューベルトの弦楽四重奏曲「ロザムンデ」:いかにもシューベルトらしく歌謡性に富んだ親しみやすい快作、いずれの楽章も概して柔和で綺麗な旋律に彩られている。好演ならば先ずアルテミス四重奏団、細やかなニュアンスまでよく行き届いた上々の仕上がり。それに劣らず素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれるのがアルバンベルク四重奏団。2月14日朝7:42~約38分間。アルテミス楽団に比べ概して歌謡的、起伏が大きく、第1楽章はヴァイオリンの主題部分がひ弱な点で劣るが、第2、第3楽章はよりひたむき、ロマンチックで優れている。両者甲乙付け難い。

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