top of page

過去の掲載記事(25)

121. フルニエ/セルの高雅な名演、ドボルザークのチェロ協奏曲:がっしりとして精巧な名作だが、演奏によっては郷土色が倍加して嫌になる。その点ピエール・フルニエ/ジョージ・セル/ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の演奏は気品一杯、情感一杯、優美なソロ、ムーディーだが切れもある洒落たオケ、ほのかな郷愁が心地よい。ソロとオケが一体化した高雅にして緻密なフランス風の名演である。特に中間楽章でのフルニエのエレガントな熱演が貴公子然とした彼の風貌と重なり印象深い。10月3日朝8:23~約45分間。

122. 精気と華やぎ、気品に満ちたモーツァルトの喜遊曲K.334:喜遊曲の多くと同様この曲も表面的な点は否めないが、彼の創作意欲旺盛の頃らしく嬉々とした精気みなぎる快作となっている。更にザルツブルクモーツァルトアンサンブルの演奏はソロ・ヴァイオリンを擁する協奏曲風で、このソロが押し出しよろしく可憐に歌っていて思わず惹き込まれる。曲想通り精気と華やぎ、気品に満ちた好演である。40分超と長時間を要する中第3曲メヌエットはお馴染み、第6曲(終曲)が聴きどころ、第1、2、4曲も良い。10月11日朝7:50~約50分間。

123. フルートならではの特異作、プロコフィエフのソナタop.94:後にヴァイオリンソナタにも編曲されたものだが、断然フルート向きの曲想で深み、起伏のある奇抜な特異作である。美しい楽園を思わせる第1楽章とそれとは対称的に抽象的、造形的な他楽章、全体としての印象は幻想的でプーランクの作風が垣間見える。エマニュエル・パユ/スティーヴン・コワセヴィチの演奏にて11月7日朝7:49~約30分間。格別ではないが、曲想に忠実かつ的確、充実した好演である。

124. 粒揃いの玄人達がよくハモって立派なハイドンの「皇帝」:アルバンベルク四重奏団の演奏は常々まとも、期待に近いレベルまで聴かせてくれる。この弦楽四重奏曲も統制をきっちり効かせ、よくハモって弾いている。滋味があり、深みもある。11月14日朝7:26~約31分間。ただオーソドックスの域を出ていない。その点ウィーンアルティス奏団の演奏は華があって魅力的、目を見張るものがある。

125. やっと出会えた惹かれる秀演、ブラームスのCl.五重奏曲: 全楽章とも彼らしいしっかりした骨格の中に抒情的なメロディーが随所巧みに織り込まれていて退屈させない。彼がクラリネットに魅せられ力を注いだ経緯が頷ける。しかし部分的に地味、閑寂な箇所もあり、全楽章ともまともに聴かせる演奏は稀有である。そうした中、カール・ライスター/アマデウス弦楽四重奏団は各パートが粒揃いで弦は快美、管はふくよか、かつ表現が洒脱なので今までに聴いた曲想とは違って聞こえ新たな感動を覚える。1967年とは思えない緻密な録音。11月22日朝7:45~約42分間。

© 2023 by GREG SAINT. Proudly created with Wix.com

bottom of page