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過去の掲載記事(27)

131. 軽妙、洒脱、歌謡的快作、ヴェルディの弦楽四重奏曲ホ短調:歌劇の公演が遅れて出来た余暇に作曲されたらしい。なるほど即興で浮かんだメロディーを基にさらりとまとめた力みのない軽妙、洒脱な、しかし彼らしい歌心の通う快作。それをアマデウス四重奏団が曲想通り見事に奏でている。情緒的だが、芯がしっかり、充実している。全楽章とも好演だが、曲の最も歌謡的な第1楽章が聴きどころ。2月14日17:30~約30分間。

132. 優美で滋味深い好演、ベートーヴェンのピアノソナタ「熱情」:この副題の通りインパクトのあるいかにも彼らしい重厚な造り、力が湧いて来て若返ったような気になる名曲である。ところが演奏となると力任せに弾き切ってしまうテクニシャンが多く、得てして雑になり易い。一方ペーター・レーゼルのこの盤(キングレコード)は優美で滋味深く、かつスケール、インパクトも不足ない。緩慢になり勝ちな第2楽章も緻密で退屈させない。音色が艶やかで深いのも特長だが、精細な録音の賜物か。2月20日朝8:02~約32分間。

133. 名曲の魅力を存分に引き出したムター、クロイツェル・ソナタ:数あるベートーヴェンのヴァイオリンソナタを代表する名曲だが、往年の妙手エネスコ(&リシェ)やデ・ヴィート(&アプレア)による名盤以来なかなか好演に恵まれない。そんな中アンネ・ゾフィー・ムターが活き活き、艶やか、可憐に歌う、ランバート・オーキスが伴奏と言うよりむしろ押し出しを効かせた好演が見つかった。息がぴったりのみならず、ピアニシモとフォルテシモ、緩急を際立たせるなど随所に思い切った工夫がなされており、ライヴ(1998年)ならではの醍醐味が楽しめる。3月5日朝7:36~約50分間。

134. ラヴェルのピアノ三重奏曲、情感溢れる名アンサンブル:彼の弦楽四重奏曲と並ぶ数少ない室内楽の貴重な一作、フランスのエスプリが薫る名作なだけに数多くの録音があるが、まともな演奏になかなか出会えない。イツァーク・パールマン(ヴァイオリン)/リン・ハレル(チェロ)/ウラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)の演奏も部分的に締りが今一つ足りないが、沁み々と情感溢れる血の通った名アンサンブルを聴かせてくれる。各ソリストとも粒揃いと言うことかピアノが突出して弦が力負けすることなど無く、艶、奥行きが感じられ、一体となってよくハモッている。3月11日朝8:04~約34分間。

135. いぶし銀が黒光りした渋い力作、ブラームスのチェロソナタ第2:一聴しただけでこれぞブラームスとわかるいぶし銀が黒光りした渋い、彼の円熟期の力作。これを往年の名手・ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)/ルドルフ・ゼルキン(ピアノ)がブラームスに成り切って弾いている。枯淡、緻密、内省的な味わい深い力演である。4月8日朝7:41~約39分間。

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