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136. おけいこの励みになる快演、ベートーヴェンのメヌエットほか:ヴァイオリンやピアノのおけいこでお馴染みの小品、ベートーヴェンが残したメヌエットト長調と「エリーゼのために」である。そして素人がおけいこで頑張る励みになる快演がある。前者はアルテュール・グリューミオ/イシュトヴァン・ハイデュ、後者はラン・ランの演奏、グリューミオのヴァイオリンは一見素直だが、ボーイングに弾力があり、隅々まで綺麗にと気配りされている。更にその豊潤な音色は彼独特の持ち味である。一方ラン・ランのピアノはテンポ、抑揚に巧みに変化をつけるなどプロの業を素人に見せ付けるような説得力のある演奏、聴きごたえがある。いずれ の曲もおけいこレベルとは言え、ここまで昇華できるのは流石ベートーヴェンの作曲だから。4月10日朝7:27~約12分間。
137. バーンスタインの壮大、明晰なベートーヴェン交響曲第1:ベートーヴェンにしては小作りで若々しい位の印象しか持てない曲だが、レナード・バーンスタイン/ウィーンフィルの手に掛かると見違える。編成を増強したかのように壮大でメリハリの効いた快演である。中でも印象的なのは第2楽章、弦をはじめ各楽器の上質な響きを存分に綺麗に引き出しており、ウィーンフィルの真骨頂が楽しめる。音質が良いからでもある(1978年の録音)。4月17日朝8:42~約34分間。
138. ナタリー・デセイの魅力沸騰、J.シュトラウス「春の声」:ウィンナワルツはニューイヤーコンサートでお馴染みだが、最初の1、2曲聴いたらすぐ飽きてしまうのは私ばかりだろうか。ダンスしながらなら未だしも長時間は付き合い切れない。ところが声楽付きのこのワルツは別格で歌曲として楽しめ、退屈させない。殊にソプラノ・ナタリー・デセイの美声は格別、可憐で艶やか、気品に満ちている。そしてスケールがあり、テンポの快適なミカエル・ションヴァント/ベルリン交響楽団、豪華な雰囲気を醸し出している。5月7日14:22~約16分間。
139. 心に沁み入る、ドボルザークのセレナードop.22第2楽章:ウィンナワルツのような華やかさよりも心に沁み入り、心を揺さぶる抒情性が特長のワルツ、ネヴィル・マリナー/アカデミー室内管弦楽団がリズミックに情緒的かつ瑞々しく歌っている。6月8日14:20~約20分間。なお他楽章は曲自体おもしろくない。
140. 特異なテンポでいじらしい、スメタナのピアノ三重奏曲:「モルダウ」と並んで彼の代表作と言える。情感、起伏、深みともに合わせ持つ快作だが、特異なテンポで歌ういじらしいような第2楽章をボーザール三重奏団が曲想通りに好演している。6月8日14:55~約20分間。他楽章は奮わない。