top of page

過去の掲載記事(34)

166. 北欧の情緒たっぷり、グリーグのヴァイオリンソナタ第3:ロマンチックだが北欧の清々しさ、爽快感を併せ持ついかにもグリーグらしい快作、全3楽章とも各々異なる魅力を具え退屈させない。この曲をアレクサンドル・ヴィンニツキ/ウラディーミル・オフチンニコフが見事、情緒豊かに弾いている。きめ細やかでくっきり引き締まったボーイングと調和が巧い懇切丁寧な音色も美しいピアノ、後味の清々しい好演である。12月23日朝7:44~約28分間。馴染みのないデュオだが、今後楽しみ。

167. S.フランソワの名演、ショパンの華麗な大ポロとラヴェルの左手:アンダンテスピアナートと華麗な大ポロネーズはオケ付きのものの方がリッチなので嬉しい。この曲で思い出す大昔に聴いて感動したサンソン・フランソワ/ジョルジュ・ツィピーヌ指揮パリ音楽院管弦楽団の名演、テンポ、強弱、メリハリの絶妙なソロと洒脱なオケ、申し分なかった。1957年のモノラル録音、大曲でもないので盤の入手はさぞ難しかろう。その1、2年後ステレオ録音された彼の弾くラヴェル・左手のためのピアノ協奏曲、アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団も素晴らしい。彫が深いが硬くなく、ロマンチック、オケ共々幻想的で濃密。12月27日朝9:06~約41分間。

168. フランチェスカッティの真骨頂がベートーヴェンの協奏曲で開花:ジノ・フランチェスカッティは明るく華やいだ音色を武器に活躍したフランスの名ヴァイオリニストだが、メンデルスゾーンではなく何故かベートーヴェンの協奏曲op.61に熱心なようで名演が複数ある。LP初期のオーマンディ指揮フィラデルフィアと、その後1973年のライヴではあるが、J.フルネ指揮オランダ放送交響楽団との録音である。前者で彼の真骨頂が開花し、後者に引き継がれている。オケは豪壮でよく締まり、ソロはあの音色で高らかに深く切り込み、聴き手の心に沁み入る。その後者についてハイライトのみだがご紹介しておこう。なおこれらに勝る演奏はクライスラー/ブレッヒによるSP盤は別格として古今見当たらない。2021年1月1日

169. 名手ホリガーの妙演、シューマンとR.シュトラウスの名曲:ハインツ・ホリガーは当代切ってのオーボエ奏者、音色も技巧も感性も申し分ない。そんな彼の妙演、シューマンの3つのロマンス op.94とR.シュトラウスのオーボエ協奏曲ニ長調である。前者はアルフレッド.ブレンデルとの共演、3曲とも文字通りロマンチックだがくどくないのが流石シューマン、いずれも表情豊かに清々しく奏でている。後者も田園の花園を巡るような綺麗な、全3楽章とも円滑、明媚な名曲、彼の指揮するヨーロッパ室内管弦楽団との駆け合い、調和、融合がお見事。1月20日朝7:26~約60分間。

170. バッハ選りすぐりの声楽と管弦楽、マタイと組曲第2:彼の代表作と言えば、声楽なら先ず「マタイ受難曲」、管弦楽なら組曲、それも最も親しみやすい第2番であろう。前者の中の「神よ憐れみたまえ」をユディト・ネーメト(アルト)が清楚にして豊潤、彼女をゲーザ・オベルフランク指揮ハンガリー国立交響楽団がほど良く抒情的にカバー、気品が薫る。後者はエーベルハルト・グルネンタール(フルート)、アルミン・タールハイム(チェンバロ)、ヘルムート・コッホ指揮ベルリン室内管弦楽団が自然体ながら揺らぎのない快演を披露、更にエレガントならばベストだったが。2月2日朝7:28~約34分間。

© 2023 by GREG SAINT. Proudly created with Wix.com

bottom of page