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171. カークビーが可憐に歌う「踊れ、喜べ、幸いな魂よ」K.165:モーツァルト16才の作とは驚き、一際華やぎ、愛らしく、気品に満ち々ている。モテットすなわち宗教曲のはずが、和やかさ、あでやかさがそれを感じさせない。彼が神童と言われる所以だ。それをエマ・カークビー(ソプラノ)が若々しく可憐に歌う。よく通る美声だが誇張がなく清楚、流石古典、バロック向き。バックのクリストファー・ホグウッド/エンシェントミュージック室内管弦楽団もソロを優しく包むように綺麗な仕上がり。2月4日朝8:04~約22分間。

172. 真面、可憐な好演、ヴェンゲーロフの弾くメンコン:ヴァイオリン協奏曲の至宝、メンデルスゾーンのop.64はLP最初期のデ・ヴィート/M.サージェント指揮ロンドン響以来なかなか名演に恵まれない。突っ込みの足りない表面的な演奏が多い中、マキシム・ヴェンゲーロフ/クルト・マズア指揮ライプチヒゲヴァントハウス管弦楽団はソロが曲想通り可憐で深く踏み込み、オケも上質、優美だ。ただ緩急、テンポがオーソドックスなので迫力や情熱のほとばしりが今一歩。それでも真面、好演に違いない、全3楽章とも。2月1日15:16~約34分間。

173. ピレシュの純粋無垢な調べ、ショパン・ノクターン3曲: マリア・ジョアン・ピレシュは自身意識しているかどうか、モーツァルトとショパンが好きで得意なのでは。いずれの演奏も緻密な上前者は艶やかに滋味深く、後者は宝石を刻むような透明感をたたえ美しい。彼女のそうした真骨頂がノクターンのマイナーなop.55-2を活き活きと蘇らせ、op.62-1そしてポピュラーなop.9-1は純粋無垢な調べで包み込み神々しい。2月12日朝8:09~約26分間。

174. 冒険が効を奏した快演、サンサーンスのチェロ協奏曲 第1:ほど良く劇的でロマンに満ち溢れ、凝縮した、チェロ協奏曲にしては短い名曲。これを若手・パブロ・フェランデスが冒険に出た。第1楽章は標準的で目立たないものの、第2、第3楽章は思い切りスローテンポで深く踏み込んだ分更にロマンチックに、でも芯はぶれずよく辛抱した。少々歯切れが甘いが、バックのダニエレ・ガッティ/バイエルン放送交響楽団共々ライヴ(2019.10.4於ミュンヘン)ならではの個性的な快演である。3月2日19:49~約31分間。

175. オケの醍醐味一杯楽しめる豪華盤、マーラーの交響曲第4:彼の代表作「巨人」とともに音の饗宴を楽しむのに打って付け、ただし並みのオケではその醍醐味を出せないだろう。その点、ベルナルト・ハイティンク/ベルリンフィルは流石、上質な音響で楽しめる。1992年録音の高音質のお蔭か、しっかり統制を効かしたハイティンクの指揮ぶりが見えるようだ。第1楽章などややスローテンポながらコントラストを際立させ、各パートをしっかり美しく鳴らしている。ソプラノはじめ粒揃いのメンバーならではの音の饗宴である。なお長大曲なので第2楽章を飛ばし聴くのもよい。3月5日朝8:09~約126分間。

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