過去の掲載記事(37)
181. モーツァルトのクラリネット協奏曲、一糸乱れず綺麗なオケ:モーツァルト最晩年の華K.622、全3楽章とも格調高く興趣が募る。クラリネット奏者にとって定番の名曲で幾多ある盤の中、カール・ライスター/ネヴィル・マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団の演奏は一糸乱れず綺麗な、テンポ、強弱の巧いオケが第一印象、ソロも要所々をしっかり押さえ、流暢で先ず々。ただし残念なのが第2楽章、全体に伸び切ってしまいせっかくの曲想が台無しに。4月16日朝7:43~約34分間。
182. アルバンベルクQの秀演、ドビュッシー・弦楽四重奏曲:腕は勿論センスが問われるこの名曲、演奏がとかく散漫になり勝ちな中、アルバンベルク四重奏団ならば満足に仕上がる、流石だ。そこからは粒揃いのメンバーによる妥協のない取組み姿勢が覗え、曲が醸し出すエスプリを強弱、緩急など駆使して的確にとらえている。フランスの香り高い秀演である。4月12日14:01~約29分間。
183. アルバンベルクQが好演、モーツァルトの弦楽四重奏曲 K.387:好みにもよるがK.421に次ぐ妙作、全4楽章ともメロディアスでエレガント。アルバンベルク四重奏団による熟れた好演によって曲の魅力が膨らむ。ベストではないが、響きが各パート均質で上質かつ緻密、メリハリが効いていて、エレガント。ウィーンスタイルの典型と言えそう。4月22日朝7:33~約34分間。
184. 目を見張る程に壮大なオケ、ブラームスの二重協奏曲op.102:彼のヴァイオリン協奏曲とともに名作中の名作であるが、名盤は乏しくLP初期のデ・ヴィート(ヴァイオリン)&バルドヴィーノ(チェロ)/シュバルツ指揮フィルハーモニア管弦楽団による典雅この上ない艶やかな演奏まで遡ら なくてはならない。しかしステレオ録音による高音質で様になる捨て難いものが時にはある。フランク・ペーター・ツィンマーマン&ハインリヒ・シフ/サヴァリッシュ指揮ロンドンフィルハーモニー管弦楽団の演奏は目を見張る程に壮大なオケが第一印象、ヴァイオリンは華奢だが、熱を帯びていてポイントはしっかり鳴らしており、チェロも大らか、ロマンチックで締りもあり、特に第2楽章の主題が好ましい。散漫な凡演が多い中注目すべき一枚である。5月14日朝8:37~約38分間。
185. 新鮮で清楚な好演、バッハのヴァイオリンソナタ BWV1016:若手のエマニュエル・チェクナヴォリアン/マリオ・ヘリング(ピアノ)によるリサイタル(2019年12月1日 白寿ホール)からの一曲、何故かこの曲だけが新鮮で清楚な好演である。バロックのヴァイオリンソナタは概して簡素なせいか、特にバッハを機械的に弾き勝ちだが、当デュオは巧みにメリハリを効かせた好アンサンブルを聴かせてくれる。殊にピアノが潤滑、艶やかに奏でており、改めてチェンバロにこだわらなくてもと思う。5月20日19:32~約20分間。