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過去の掲載記事(40)

196. ハイフェッツの名人芸、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲:ロマンチックな映画音楽風だが水っぽくなく、ヴァイオリンを巧く歌わせ波打つように変化をつけた快作。派手で親しみ易いメロディーのお蔭かプロの演奏ならば一応聴けるが、ここぞと言う好演となると限られる。筆頭はヤッシャ・ハイフェッツの演奏、アルフレッド・ウォレンスタイン指揮ロサンゼルスフィルを伴い名人芸を披露している。十分ロマンチックで個性的、それでいて彼独特の癖、嫌味のないのが良い。ハイフェッツが好んで弾いて世に広めたと言われるが、なるほど頷ける。オケも的確、ムーディー。1953年の録音にしては好音質。9月10日朝7:49~約28分間。

197. タリアフェロの記念的秀演、サンサーンスのピアノ協奏曲 第5:マグダ・タリアフェロはブラジルの生んだフランス・パリ仕込みの秀逸ピアニスト、聴き手の情感を揺さぶる彫の深さと際立つ色彩感が特長である。そしてこの名曲「エジプト風」の異国情緒を存分に醸し出している。古今東西これに勝る秀演が見出せない名盤である。殊に中間楽章冒頭は圧巻、その押し出しの強さとスケールは誠に印象的。オケのジャン・フルネ指揮コンセールラムルー管弦楽団も彼らしく洒脱で良いが、1953年の録音のためか引っ込み気味で精度は今一歩。9月5日朝9:00~約36分間。原盤・マスターテープによるものであればオケも万全であろう。

198. セル/クリーヴランドの精緻な熱演、マーラーの第4:色々な音色が集うと言うか飛び交う楽器のデパートのような大・交響曲。ジョージ・セルが各奏者に生命の息吹を吹き込む精緻な熱演を披露。そのため長―いこの曲があまり退屈せずに通して聴ける。終楽章のソプラノ(ジュディス・ラスキン)も含めこれほど活き活きとして聴けるのは、ステレオ初期の録音ながら音質が抜群だからでもある。奏者一人々が手に取るような精度の高さだ。9月10日朝8:11~約64分間。

199. 緻密で土台のしっかりしたピアノソナタ「テンペスト」:ベートーヴェン青年期の彼にしては珍しく歌謡的な名作だが、福間洸太朗が緻密で土台のしっかりした好演を披露(2020.7.15すみだトリフォニーホール)。強弱、間拍子が巧みにコントロールされ、特に終楽章では情熱が高まる中細やかなニューアンスが綴られ、揺れ動きながら引き込まれる。9月21日19:55~約30分間。遙か高嶺にハスキルのエレガントな名演が。

200. 三浦/三浦が誠心誠意歌う、ヴァイオリンソナタK.379:モーツァルトのヴァイオリンソナタはピアノ協奏曲とともに彼が最も親しんだジャンルであるが、そこから数々の名作が生まれている。ホ短調K.304を筆頭にト長調K.379他である。その後者を三浦文彰/三浦舞夏が誠心誠意心を籠めて歌っている。ヴァイオリンは幾分弱腰だが可憐、ピアノは精緻で巧い、ハーモニーも妙味。変ホ長調 K.302も曲はともかくなかなかの好演である。その他K.306の第1楽章や481も部分的に好調(2020.10.23ヤマハホール)。9月22日19:31~約96分間。

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