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206. バーンスタインが名タクト、ショスタコ・ピアノ協奏曲 第1:ショスタコーヴィチにはモノクロ、くすみ、珍妙さが特徴の異色作が多く、この曲もその典型であるが、アンドレ・プレヴィン/レナード・バーンスタイン指揮ニューヨークフィル(トランペット:ウィリアム・ヴァッキアーノ)の演奏には逆に華やぎがあり、抜けるようにアクがない。きめ細やかで弦の美しいオケの賜物、バーンスタインの名タクトに曲趣を超えて粋なソロがよく応えている。普段のショスタコーヴィチとは異質のカラー仕立て、珍しくしょう洒で品格もある。録音はかなり前だが、立体的で高精度。11月3日朝7:48~約27分間。

207. グリュミオー/ハスキルによる名演、ソナタK.304:モーツァルトのヴァイオリンソナタはピアノ協奏曲と並ぶ美の名宝で、ホ短調K.304はその極致的至宝である。かつてシゲティー/マガロフによるものだったか、SP時代の円熟した名演が耳に残って久しい。これには及ばないものの、LPではアルテュール・グリュミオー/クララ・ハスキルが名盤の最右翼で、ハスキルは精緻、間拍子抜群、完璧だ。グリュミオーは突っ込み不足の感を否めないが、優美、可憐で魅力的。ハスキルの遺した数少ないステレオ録音による貴重な一枚。11月8日朝5:33~約17分間。

208. ポリーニの頭脳的好演、ショパン・ピアノソナタ第2「葬送」:第3楽章の葬送のメロディーでお馴染みだが、ショパンのある種臭みも気になる曲、情感たっぷりに弾かれると鼻持ちならない。一方マウリツィオ・ポリーニは過剰なポーズは排し割合直線的、しかし細緻にして適宜抒情的、余韻を残す頭脳的演奏を披露している。ベートーヴェンを弾くような弾力、風格も感じられ聴き応えがある。11月9日朝7:35~約29分間。       

209. 活き活き、血の通った、シューベルトの弦楽三重奏曲 D.581:小粒ながら彼らしい歌心溢れるサロン風の佳作、全4楽章ともメロディアス、愛らしく、親しみ易い。特に前半2楽章の途切れ々のパッセージが異色。しかし何故か演奏機会が少ない中、ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)、今井信子(ヴィオラ)、ミーシャ・マイスキー(チェロ)は曲想を大事にして、活き活き、血の通った、よくハモった好演を聴かせてくれる。11月18日朝7:44~約26分間。