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246. 安心して聴けるいつものグリュミオー、バッハの協奏曲第2:このヴァイオリン協奏曲の演奏は第1番もだが凡そ無味、テンポだけしっかりした快速型が昨今の流行となっており、ピリオド楽器を使ったと言うだけの拙い演奏が目につく。こうした中旧型のオーソドックスな演奏を耳にすると懐かしく落ち着く。アルテュール・グリュミオー/レーモンド・レパード指揮イギリス室内管弦楽団もその通り低速で単調ではあるが、じっくり安心して聴ける。取り得はやはりグリュミオーの優雅さであり、殊に中間楽章の彼は優美かつ情緒豊かで聴き手を離さない。一方両端楽章はもう少しでも急緩をつけ締まって欲しかった。2023年1月13日朝7:40~約20分間。

247. 名作に聞こえる妙演、モーツァルトのピアノソナタ K.330:ピアノの上手な子が決まって弾くポピュラーな練習曲だが、流石モーツァルトの作だけに内実あり、妙味あり、弾き手によっては名作になる。若き藤田真央の演奏がそれで正にこの曲の手本である。緻密で滋味深い、強弱とテンポが絶妙、角のないタッチもモーツァルトの曲にふさわしい。正真名作K.310のソナタならば彼はどのように弾くか今後が楽しみ。1月13日朝8:24~約21分間。

248. マイナーのままでは勿体ないロッシーニ・弦楽のためのソナタ:彼最初期の作で古典的、モーツァルトをモデルにしたように明朗でメロディアス。それでも陽気に弾むところは既に彼らしい。マイナーのせいか親しみ易い曲なのに聴く機会が少ない中、イタリア合奏団の演奏はきめ細やかで明美、活き活きとしており貴重だ。第1、第5番とも好調だが、強いて言えば前者の方が曲が綺麗で愛らしく印象的。1月20日朝7:34~約35分間。

249. 緩徐部も退屈させないK.メイソン、エルガーのチェロ協奏曲:エルガーの作品は凡そあまり振るわない。もやもやとして冗長、取り付く島がないので、凡演では聴けたものではない。一方この曲には相応の起伏とブラームスを思わせる渋味があり準傑作ではあるが、やはり緩徐部など演奏がよほどでないと途中で眠たくなる。その点シェク・カネー・メイソンのソロは細部まで息吹の感じられる熱の籠った好演を披露。バックのサイモン・ラトル/ロンドン交響楽団もソロとの巧みなバランスの下結構盛り上がり好調である。お蔭で退屈せずに最後まで聴ける。1月24日朝8:43~約31分間。

250. 標準超のバドゥラスコダ、モーツァルト・ピアノ協奏曲No.24:ピアノ協奏曲の名曲中の精華、彼の同20番も素晴らしいが、それより渋く陰が深い。かつ超自然なので飽きが来ない。ところが名盤とはステレオ初期のハスキル/マルケヴィッチ指揮コンセールラムルー以来全く巡り会えない。それでも皮相的な演奏が多い中、標準を上回るものとしてパウル・バドゥラ・スコダのソロと指揮、プラハ室内管弦楽団が挙げられる。ソロは比較的深く踏み込み、要所々をしっかりわきまえ卒なく仕上げている。ただし終楽章は気が抜けたように粗雑に聞こえ残念。オケは弾き振りのお蔭かソロとの調和は良いが、もう少しでもリッチな響きが出せないものか。1月26日朝8:07~約32分間。

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