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26.ミュンシュならば聴ける幻想交響曲:ベルリオーズのこの曲は管弦楽の華であるが、内実が伴わないせいか楽章を重ねていくうちに飽きてくる。ところがシャルル・ミュンシュ/パリ管は違う。普通ならば幻想に力点が置かれ伸び切ってしまう部分も程良く立体的で聴き手を離さない。逆に大げさになりがちな部分は闊達簡潔に、それでいてたっぷり幻想的。10月11日朝7:55~約60分間。なおオーマンディ/フィラデルフィア盤もくっきりした輪郭の垢抜けした名演で、ミュンシュ盤とは違った味わいが楽しめる。

27. 異彩を放つアルテミスQ、ベートーヴェン「セリオーソ」:昨今の弦楽四重奏団は概してヴァイオリンがひ弱など思わしくない中、アルテミスQは生き生きとして濃密、彫りが深い。同楽団によるこの弦楽四重奏曲op.95も重厚で心地良い緊迫感が堪らない。曲はベートーヴェンにしては短いながら凝縮した力作。10月19日朝8:15~約25分間NHKFM放送予定。なお彼らのドボルザーク・弦楽四重奏曲「アメリカ」もロマンチックで、スケールとメリハリのある上々の仕上がり。

28.知る人ぞ知る隠れた名曲、ヴィニャフスキのこの曲:ヴィニャフスキはヴァイオリン協奏曲が有名な他は馴染みが薄い。そんな中エチュード・カプリスop.18は知る人ぞ知る隠れた名曲である。バルトウォミエイ・ニジョウとダニエル・スタブラヴァが可憐で活き活き、絶妙のアンサンブルを見せてくれている。10月27日朝8:08~約33分。

29.シェリングの好演、ヴィターリのシャコンヌほか:ヘンリク・シェリングには傑出した演奏が見当たらない中、ヴィターリのシャコンヌは真摯で心のこもった芯の通った奥行も感じられる好演である。またクライスラー作曲ボッケリーニの様式によるアレグレットとタルティーニ作曲コレッリの主題による変奏曲も好演で、特に前者はかなりこなれていてエレガント、素晴らしい。いずれも1959年の録音(ステレオ)、この当時が彼の充実期らしい。12月2日朝7:40~約25分間。

30.シューベルトの魅力はミサ曲にも:シューベルトの作風は概して歌謡的で、声楽に真骨頂がある。「冬の旅」や「白鳥の歌」などの歌曲はお馴染みであるが、更に磨きをかけて仕上げたのが知る人ぞ知るミサ曲である。リアス室内合唱団、シャンゼリゼ管弦楽団/フィリップ・ヘレヴェッヘが演奏する第5番は荘厳だが、重くなく、ソフトできめ細やか、フランス風の妙演である。12月7日朝7:33~約50分間。

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