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過去の掲載記事(7)

31.ウィーンフィルの魅力満喫:ウィーントーンとも言うべき一糸乱れない繊細で滑らかな弦の特長をズービン・メータが引き出してくれた。フランツ・シュミットの交響曲No.4はマーラーばりの曲想で弦が活躍するので、ウィーンフィルにうってつけ。12月8日朝8:12~約1時間。ただ50分に及ぶ単一楽章の長時間もので変化に乏しいので、最初の10分と最後の15分位が聴きどころである。

32. 滋味豊かなアルゲリッチのショパンピアノ協奏曲第1:マルタ・アルゲリッチ/ラビノヴィチ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィア(1999年ライヴ)は曲想を大事にしながら緩急巧みなテンポで心地良く進む、感情の起伏のくっきりした好演である。12月9日朝8:18~約45分間。しかし第3楽章はテンポが崩れた大雑把な演奏。やはりサンソン・フランソワ/ツィッピーヌ指揮パリ音楽院管弦楽団が名盤、若き血潮がほとばしるような情熱的かつ溌剌としたソロ、そして緩急自在、エレガントなオケが何とも素晴らしい。

33. 異国情緒たっぷり、ラローチャの弾くスペイン組曲:アルベニス作のスペインの風情が散りばめられた8曲からなるピアノ曲集、大半がロマンチックで魅力的である。アリシア・デ・ラローチャは極めて抒情的、音色自体が異国的でスペインの香をたっぷり楽しめる同国出の彼女ならではの好演。全8曲とも十分に聴けるが、その中第1、4、5、7曲がお薦め、特に第5曲「アストゥリアス」は彫が深く、夜のグラナダ?の宮城の風情が感じられ印象的である。12月20日朝8:12~約45分間。

34. バッハの無伴奏ヴァイオリン、エンリコ・オノフリなら聴ける:バッハの無伴奏ヴァイオリンにはシャコンヌを弾いたジョコンダ・デ・ヴィートの芳醇、緊密、陰影際立つ極め付きの名演があってから久しい。そんな中最近耳にした同パルティータNo.3は変幻自在でお洒落、心地良くぐいぐい引き込まれていく、久々の好演であった。楽譜にこだわらず、それでいて芯はぶれず筋が通っている。エンリコ・オノフリの演奏、2014年の録音、音質も素晴らしい。

35. グリューミオー独特の音色が楽しめる、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲:艶やかで優美な音色が彼の特長で、その音色に魅せられる熱烈なファンが多い。このベートーヴェンも腰不足で上出来とは言えない中彼の特長が楽しめ、殊に第2楽章はハイピッチ部など心に沁みわたる。コリン・デーヴィス指揮ロイヤルコンセルトヘボー菅も規模の大きなまずまずの仕上がり。2017年1月4日朝8:30~約50分間。この曲で卓越しているのはフランチェスカッティだ。オーマンディ指揮フィラデルフィア、J.フルネ指揮オランダ放送交響、いずれとの録音(後者はライヴ)も輝きに満ちた圧倒的な秀演である。

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