top of page

14.聴けば聴くほど磨かれる音楽センス

    音感と音楽センスは別物である。音感は一音々高さを正確に聴き取れるかどうかピアノ等を前にレッスンして身に付けるもの、全然面白くなく私みたいな年配者には苦手な能力である。一方音楽センスならば年を重ねても増進する楽にして身に付く能力?で文字通り楽しい。「好きこそ物の上手なれ」そのもの、とにかく好きでも嫌いでも聴いていれば自然と養われる。しかし大事な事が一つあり曲、演奏とも長所を求めて聴くことが肝要である。しかし空振りが常々なので、当たった時の喜びが一入である。嫌いだった曲がやがて好きになったり、未知の有能アーティストに出会えたり、日頃の楽しい努力が稀に実を結ぶから嬉しい。私など学生時代はソロ協奏曲ばかり聴いていた、ソロとオケとのバランスがとても好きだったからだが、趣味が昂じてくるとソロ同士すなわちソナタや室内楽にも魅力を感じ、次いで交響曲などのオケもの、退職し年中聴くようになってからは声楽にも通じるようになった。「通じる」とは曲の良し悪し、アーティストの器量がわかり、評価する尺度、標準をある程度わきまえていると言うことで、努めて聴いてさえいればそのうち身に付く。しかし私には未だ通じていない分野があり、その一つがブルックナーのグレーイッシュな作風、盛り上がる部分の他はなかなか理解できない。これからも有閑気ままに聴きまくり耳を益々育てる所存。最後に一言、アーティストの方々にもひたすら聴いてセンスを磨いてもらいたい、きっと好演に繋がりますよ。

15.旧態から脱皮して欲しいニューイヤーコンサート

    これは毎年元旦に代々の有名指揮者の下ウィーンフィルが演奏を繰り広げる伝統行事、初代クレメンス・クラウスの演奏を今も聴くことができるが、それは彼独特のテンポとアクセントを駆使した名演である。しかし演目は爾来ずっとワルツ、ポルカ、ギャロップ、行進曲、喜歌劇序曲の類、それもほとんどウィーンもの。ナチス支配下のオーストリアが起源とされ、当時の暗黒下世情は明るく楽しいイベントに待ち焦がれていたのだろうが、その後も長年に亘り同じパターンを繰り返している。今の聴き手にとってはこうした舞踏曲は踊るならともかく2、3曲聴けば十分で、長々の連続では飽きてしまい耐え切れない。ウィンナワルツも名曲はわずか、同じワルツにしてもレハール、その他ドリーブ、グノーやオッフェンバックの舞踏曲にも名曲があるのに採り上げないのは勿体ない。いや舞踏曲に限らずとも良い。一時ウィーンにゆかりのあるモーツァルト、ハイドン、シューベルトの作品も演奏されたとの由、交響曲や協奏曲を1、2曲挟んでみたらどうか。ベートーヴェンもウィーンで活躍したので第4とか第7交響曲など新年にもふさわしく良いと思う。その様な充実した、凝った曲にこそウィーンフィルの真価そして指揮者の真価は発揮されより多くのファンを魅了するはずだ。

© 2023 by GREG SAINT. Proudly created with Wix.com

bottom of page