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56. みずみずしいムター、ブラームスのヴァイオリン協奏曲:アンネ・ゾフィー・ムター/ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリンフィル盤、ムターが新進らしくみずみずしい音色で特に第1楽章は徐々に加熱していく心の籠った好演である。第2楽章も可憐に歌っていてまずまず、終楽章もしっかり鳴らしている。風格はともかくみずみずしさが魅力なムターの記念盤と言える。オケも上質、録音も良い。6月13日朝8:28~約47分間。なおLP初期のモノラル録音で往年の名手ヌヴーないしデ・ヴィートによる生気みなぎる絶品がある。

57. R.シュトラウスの魅力作、ヴァイオリンソナタop.18:彼の若い頃のものらしくロマンチックであるが、構造のしっかりした本格派。魅力作と思うが、意外に演奏機会は少ないようだ。イツァーク・パールマン/エマニュエル・アックスの演奏、ピアノが陰影と奥行を醸し出し、それに巧く乗ってヴァイオリンがソノーラスに歌っている。起伏のある充実した演奏である。特に第2楽章は中盤の展開部が情熱的で印象に残る。6月29日朝8:22~約33分間。

58. 何故か飽きないアンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ:ショパンのピアノ曲、ロマンチックできらびやか、20分足らずなので聴き易く、単純なのに何故か飽きない。エマニュエル・アックス/チャールズ・マッケラス指揮エイジ・オブ・エンライトゥンメント管弦楽団の演奏、アンダンテはやや素っ気無いが、ポロネーズに入ってから徐々に熱を帯びてきてテンポ、抑揚が弾んで来る。ベストではないが、魅力的。7月12日朝8:12~約23分間。なおLP初期に変幻自在であったサンソン・フランソワと演出の巧いツィピーヌ指揮パリ音楽院管弦楽団による妙演がある。

59. これなら聴けるバッハのチェンバロ協奏曲BWV1055:常々チェンバロがか細い音色なのでバックに埋もれ勝ち。しかしグスタフ・レオンハルトのチェンバロと指揮/レオンハルト・コンソートによる演奏は音響バランスが良いので、チェンバロが力負けせずくっきり聞こえる。演奏、録音双方に苦労の程が察せられる。仕上がりは全体としてエレガント、じっくり深く踏み込みチェンバロが活き活き艶やかな第2楽章が特に印象的である。8月2日朝7:26~約20分間。

60. ヘンデル・ハープ協奏曲のお手本、ラスキーヌ/パイヤール:聴けばお馴染みの名曲、変ロ長調op.4-6、簡素でも飽きない。演奏は数多くあり、プロならば凡そ様になるが、選りすぐりのお手本と言えばあのリリー・ラスキーヌ/ジャン・フランソワ・パイヤール指揮パイヤール室内管弦楽団盤だ。パイヤール特有の優雅なオケにしっとり、くっきり刻み込む端麗なソロ、中庸なテンポで快適である。なおラスキーヌにはオーリアコンブ指揮トゥールーズ室内菅との演奏もあるが、第1楽章などオケがボッテリ締らない箇所があるので、パイヤール盤の方が良かろう。

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